东大寺(改完)

東大寺今日は東大寺、異国の文化を取り入れながら自国の文化を育はぐくんでいた日本。

その原点を探さぐります。

ピーター·バラカン「今日は奈良の東大寺に来ています。

奈良はかつて平城京と呼ばれる使徒のあった場所です。

日本のことというと、京都がよく知られていますが、平城京は京都よりもさらに古い都です。

2010年は平城京の誕生からちょうど1300年の記念すべき年に当たります。

奈良には、歴史的な建造物や美術的に価値の高い文化財がたくさん残されていて、その一つがここ東大寺です。

修学旅行で訪れることも多いようです。

あちらが南大門と呼ばれる東大寺の正門です。

」古いにしえの都奈良。

ちょうど1300年前政治文化の中心だった平城京のあった場所です。

ここの建築物が日本で最も多く残っている地域で、この地域の文化財は世界遺産にも登録されています。

その一つが東大寺です。

8世紀半ば聖武天皇によって建てられました。

年間200万人を超える観光客が訪れる奈良を代表する寺の一つです。

仏教の寺とは釈迦しゃか（釈迦牟尼）の教えを説とき、僧や尼あまが修行しゅぎょうを行う場所です。

仏の救いを求め、東大寺にも数多くの人々が参拝に訪れてきました。

野球場が五十ほど入る広大な境内けいだい（神社、寺院的院内）には歴史の重みを感じさせるお堂や仏像が数多く残されています。

まず、目を見張る（瞠目而视）のが高さ47メートルの大仏殿です。

8世紀半ばに創建されましたが、二度の戦いくさに巻き込まれ焼失しょうしつ（烧掉。

烧毁。

）しました。

現在の建物は300年前に再建されたものです。

創建当時の三分の二の大きさですが、それでも、世界最大級の木造建築です。

大仏殿の中には東大寺の本尊ほんぞん（主佛）が安置されています。

盧遮那るしゃな仏。

奈良の大仏として親しまれています。

宇宙の真理を人々に照らし、悟りに導みちびくという仏です。

こちらは大仏殿の東に建つ法華堂ほっけどう。

通常三月堂です。

東大寺に残る数少ない奈良時代の建築物です。

法華堂は国宝の仏像がずらりと（一长排、排长队）並ぶお堂として知られています。

こちらは8世紀半ばに作れたという不空羂索観音ふくうけんさくかんのん像。

苦しむ人々を広く救うという8本の手を持つ観音です。

高さはおよそ4メートル、全身に金箔きんぱくが施ほどこされた美しい造型です。

手のひらの中には宝珠ほうじゅと呼ばれる水晶すいしょうの球たま。

強い救う力がある手のひらと言われています。

こちらは大仏殿の西側に建つ戒壇堂かいだんどう（授戒堂）です。

戒壇堂とは僧が守るべき戒律を授さずかるための儀式を行う場所です。

お堂の四隅を守るのが槌を南総にも塗り重ねて作られた四天王立像してんのうりゅうぞうです。

1250年前に作られたという四体の像はまるで今にも動き出しそうな迫力はくりょく（扣人心弦，打动人心的力量。

）を持っています。

東大寺は悠久の時を感じさせる貴重な文化財が数多く残る場所なのです。

ピーター·バラカン「創建当時の大仏殿は現在1．5倍の大きさでした。

柱には直径１メートル、長さ30メートルの木材が84本も使われました。

建物全体となるととんでもない量の木材を使っていることになります。

建設には多くの一般庶民がボランティアで参加しました。

そもそも東大寺はなぜ立てられたのでしょうか。

その理由を探さぐるために東大寺の顔とも言える二種類の像について見てみましょう。

」寺の中央に聳え立つ大仏殿。

この中に安置されているのが寺の本尊盧遮那仏です。

高さ15メートル。

銅で作られた仏像としては世界最大です。

毎年８月に行われる御射式おみぬぐい（用白布擦拭佛像）。

大仏に積もった埃を取り払う行事です。

大仏がどれほど大きいかがよく分かります。

743年聖武天皇によって大仏の建立が命じられました。

仏の力で災害や伝染病に苦しむ世の人を救おうと考えたのです。

大仏は極めて高度な鋳造技術を使って作られました。

使われた銅の量はおよそ500トン。

全国各地から集められたものです。

雄大ゆうだいなうねり（起伏）見せる衣ころもの曲線にどっしり（厚重，庄重。

）とした造型。

まず、真ん中に木の柱を立って、骨組ほねぐみ（物体主要部分的结构。

骨架。

）を作ります。

そこに銅を塗り固めて大仏の原型を作る。

それに合わせて（粘合，扣住。

）、鋳型いがた（模子）を作っておきます。

その鋳型と原型（雕塑的原始塑型。

）との間に銅を流し込む（浇入）のです。

作業は8段階に分けられ、下から順に行われました。

建立に携たずさわった人数は延べ260万人。

これは当時の日本の人口の実に半数以上に当たります。

さらに細部にわたる手が込む技に施されています。

大仏が座る台座だいざ(佛像底座)です。

蓮はすの花を表しています。

線画せんが（线描）によって仏教の壮大な世界観が描かれています。

当時の技術の粋すい（精华，精粹。

）を集め、人民の力を結集けっしゅう（聚集）させて、奈良の大仏が誕生したのです。

東大寺には木造彫刻ちょうこくの傑作と呼ばれる像もあります。

東大寺の正門、南大門。

鎌倉時代に作られた二台一対の二王像。

金剛力士像こんごうりきしぞうです。

製作の中心となったのは天才仏師運慶うんけいと快慶かいけいです。

口を大きく開けているのが阿形あぎょう、仏教では物事の始まりを表します。

口を閉じているのが吽形うんぎょう、物事の終わりを表します。

二台合わせて仏教の世界観を表現しています。

盛り上がる（隆起）筋肉、そして、悪霊を追い払う（赶走，撵远）怒りに満ちた顔。

筋肉には浮き出す（凸出表面）血管が彫られ、手にはしっかりと皺が刻み込まれています。

指先の指紋は木の年輪ねんりんによって表現されています。

更に、二王像には驚くべき秘密が隠されていました。

明らかとなったのは二十数年前、二王像の修復が初めて行われた時のことでした。

解体（拆解）してみると、一本の腕だけでも25の部材（部件）が使われていたのです。

全体では何と3000を越えていました。

この二王像を運慶たちは僅わずか69日で作ったと言います。

計り知れない（不可估量）技術の高さ、そして、武士たちの気魄きはく。

全身全霊ぜんしんぜんれい（全身心）を傾けて像を作り、その像に祈りを捧ささげる。

その営みの中で古来日本には数多くの優れた仏像が生まれました。

東大寺にはそうした仏像の傑作がいくつも残されているのです。

ピーター·バラカン「大仏殿の中にやってきました。

あちらが大仏殿。

最近日本では若い女性を中心にちょっとした仏像ブームが起きています。

その芸術的な美しさも然ることながら、とても心休まる独特の趣おもむき（情趣，韵味，情景）があるんですよね。

仏像のポーズにも一つ一つ意味があります。

右手を上げているのは人々の恐れを静める（使…镇静）ことを表し、左手は願いを叶かなえることを表しています。

そして、眉間みけんの突起とっきは白豪びゃくごう（白毫。

寿豪。

佛陀的三十二相之一。

在佛陀眉心上放出光明的白卷毛。

）と言って、光明を放って、悩める人々を救う仏の慈悲じひを表しています。

こちらの柱にある穴は何だと思いますか。

この穴は大仏の鼻の穴と同じ大きさだそうです。

この穴を潜ると無病息災むびょうそくさいのご利益りやくがあるとされています。

それはぜひとも授さずかり（领受，获得，被赐予，被授予）たい物ですよね。

ああ、これはきつい。

やあ、これはたいへんだ。

多くの人は東大寺というとあちらの大仏や入り口の門にある二王像を思い浮かべるかと思いますが、この寺には価値の高い宝物ほうもつが数多く残されている。

」大仏殿の北にある正倉院しょうそういんです。

聖武天皇の遺品をはじめ、東大寺に伝わる宝物が収めらされてきました。

1200年以上前の物を中心に古い工芸品や仏具ぶつぐなどがおよそ9000点（助数次。

件）伝わっています。

平城京はシルクロード（丝绸之路）の終着点として、中国をはじめ、西アジア、ヨーロッパなどの文化が流れ込む国際都市でした。

遣唐使が中国から持ち帰った工芸品やシルクロードを通って運ばれてきた品々がここに集まったのです。

一般的に1000年以上昔の品は土の中から劣化れっかした状態で発見されることがほとんどですが、正倉院の宝物は当時の姿をそのまま残しています。

その秘密が建物の造りにあります。

正倉院は40本の太い柱が建物を支える高床式です。

床を地面から離して、風通しをよくし、湿気を押さえます。

外壁は断面が三角形の檜ひのきを組み合わせて作られています。

これらの木材が空気中の湿度に合わせて伸縮することで室内の湿度を一定に保つ働きをします。

こうした古の知恵によって宝物は守られてきたのです。

こちらは楓かえでの木で作られた琵琶びわです。

五本の弦を持つ琵琶はインドで生まれた楽器です。

後に日本に伝えられ、奈良時代に盛んに演奏されました。

表には駱駝らくだに乗って琵琶を奏かなでる人の姿が貝殻で表現されています。

こちらは紫檀したんで作られた碁盤です。

囲碁いごは中国で生まれた遊びで日本では宮廷の嗜たしなみ（嗜好，休养）の1つとして天皇や貴族の間で流行しました。

側面には駱駝や鹿などエキゾチック（异国式，异国风情）な文様の象眼ぞうがん（镶嵌工艺）が施されています。

象牙ぞうげを染め、文様をあしらった（配上，点缀以）華やかな碁石ごいし。

大陸にしか生息せいそくしないという鳥，戴勝やつがしら（戴胜鸟）が彫られています。

日本ならではの文様もあります。

こちらは机の上敷うわしき（地毯，床单，凉席）。

花の文様が間隔かんかくをあけて並べられています。

一方、大陸で作られた物はびっしり（摆满，塞满）と文様が詰まっています。

間（空白）を大切にする日本的なデザインにアレンジされた品です。

こちらは羊をモチーフ（主题）にしたペルシャ風の屏風です。

しかし、ここにも日本独自の技法が用いられています。

羊の周りに並ぶ葉っぱの文様。

よく見ると、同じ形をしています。

効率化を考え、スタンプ（印戳）のような型を使って作られたものです。

ピーター·バラカン「正倉院の宝物の保存状態がよいのは倉の構造も然ることながら、天皇系によってずっと守られてきたからでもあります。

外国では国家権力者の変わる時に所有していた貴重な美術品などが破壊されてしまうことがよくあります。

ところが日本では天皇系がずっと続いてきたため、数々の宝物が残ったのです。

正倉院は現在でも勅令ちょくれいがないと開けることができませんが、毎年秋には宝物の一部は一般公開（向公众开放）され、奈良の風物詩（时令景观）となっています。

」東大寺の後方に広がる若草山わかくさやま。

古都奈良の新年を飾る行事山焼きです。

花火を合図あいず（信号）に松明たいまつ（火把）の火が枯かれ野の（枯草地）に注がれると山肌やまはだ（山的地表）は火の海となります。