色彩概论

色彩概論~目次~

野島正樹

0. はじめに (2002.4.22)

1. 電磁波(200

2.6.6)

2. 人間の目の明暗?色の認識(1)(2002.7.10)

人間の目の明暗?色の認識 (2)(2002.8.15)

人間の目の明暗?色の認識 (3)(2002.8.21)

3. 色の表現方法(2002.9.20)

4. 色の三属性(2002.12.2)

5. 三原色(2003.1.16)

6. 濃度計による測色方法(2003.1.23)

7. マンセル表色系(2003.1.30)

【参考文献】

Color In Business Science And Industry by Deane B.Judd 色の話ミノルタ

色彩科学ハンドブック日本色彩学会編

色彩概論-はじめに

0. はじめに

印刷業界にも濃度の概念から色の概念での仕事が増加してきている。DTPの

画像処理ソフトを始め,印刷の色管理まで,色彩を使用した機器が増加してき

ている。従来の知識だけにとらわれず,色の活用法を考えてみる必要があるの

ではないだろうかと思う。

特にクライアントとの関係で,人間の目の識別能力は,訓練された人ならば,

併置比較では測色計の誤差程度まで見分けられる。その違いを指摘され,どう

したらよいか迷うようなことも経験したことがあるのではないだろうか。

随分昔の話になるが,百科事典の箔押しの色が,書棚に並べたときに各巻毎

に違いがあるという????がきたことがある。もし箔押しの箔が,一般の出荷

検査規格のAA級誤差まで許容されているとすると,最大ΔE=1.6まで許容さ

れることになる。そのような材料を使用して,並べて色を比較した場合,同じ

ロットのものを使用しない限り,違いがでて当然のことである。全巻の箔の色

差を測定し,かつ工業製品の規格内に十分入っていることを説明し,理解していただいたことがある。

もし,印刷物も一般の工業製品と見なすならば,むやみにバラツキ幅を小さく設定することはコスト高につながるので,クライアントによく説明し,理解を得ると同時に,製品の印刷状況の結果を得意先に提示するシステムを作り,その結果を添付して納品するシステムを作るべきではないかと考えている。

印刷業界は,色をCMYKの4色で再現しているため,いわゆる色彩に関する関心が薄かった。しかし,DTPが普及し,コンピュータで色を扱うようになると,その画像処理ソフト(たとえば,Photoshop)は,CMYKではなく別の尺度で色を扱っており,必然的にそれらの知識が必要となってきている。また,印刷業界の人は,CMYKになれているが,DTPをデザイナなどが使用する場合,CMYK よりも,色彩で表現するほうが親しみやすく,画像処理ソフトも色の表示を基本として作られてきている。そこで,よく使われる色表示方法に関しての簡単な基礎知識をまとめてみる。

色彩概論-1. 電磁波

1. 電磁波

われわれを取り巻く環境の中には,電磁波と呼ばれているいろいろな周波数の波のエネルギーに満ちあふれている。もし,これらの波の?????が無かったならば,われわれは物を見ることも,ラジオを聞くことも,テレビを見ることも,X線や超短波による医療診断もできないことになる。主な電磁波の概算波長は次のようになっている。

γ線0.001?~0.0001?

X線0.01?~5?

紫外線5?~400mμ

可視光線400mμ~700mμ

赤外線700mμ~1mm

マイクロ波 1mm~10cm

極超短波10cm~1m

超短波1m~10m

短波10m~100m

中波100m~1000m

長波1000m~

人間の目は,これらの波長の中で可視光線の約400mμ~700mμの間の波が目に入ってきたときにだけ見えることになる。この可視波長の範囲は個人差があり,紫外線よりでは,約380~400mμ,赤外線よりでは,760~780mμの光を認識することができる。この波長の光をプリズムで分光してみると,赤から青までの光が虹のように分けて見ることが出来る。

色彩概論-2.人間の目の明暗?色の認識 (1)

人間の目の光を感じる部分は、網膜のロッド(Rods)とコーン(Cones)というモザイク状の光受光体である。ロッドはほんのわずかな光にも反応し、そのため、我々は、月明かり、星の輝き、曇のかかった不明瞭な星でさえも見ることができる。ロッドの感色性は、最も高いところが510mμ(グリーン)である。図の点線は、ロッドの分光感度を示している。しかしながら、ロッドは、赤、緑、青などの色彩を認識することはできず、白、グレー、黒などの無彩色としての認識しかすることができない。

コーンは、昼光色の光を認識

するとともに色彩を認識してい

る。図の実線は、コーンの明暗

の分光感度を示したものである。

暗いところと明るい場所では、

このロッドとコーンの切替が起

こっている。明るいところから急に暗いところにはいると、

しばらくの間ものが見えないが、次第によく見えてくるよう

になる。一般に夜目がきくようになるということはロッドと

コーンの切替ができたことを指す。そして、月明かりだけで

も山道が歩けるようになる。また、逆に暗いところから明る

いところに入った場合には、しばらくまぶしくてものが良く

認識できない。この時間の差がロッドとコーンの切替の時間

差であり、暗いところに慣れる方が時間がかかることは経験

上知っていると思う。

コーンは、明るいところの明暗を認識するだけでなく、明-暗、赤-緑、黄-青の3つの個別情報を認識している。また、それらは、上図に示したようにスペクトルごとに輻射??????を吸収する能力が異なっている。これは、コーンのあるものは、短波長光(V)を吸収する色素を持っており、あるものは、長波長光(R)を吸収する色素、あるものは、中間的な波長の光(G)を吸収する色素を持っているからであると考えられている。

色彩概論-2.人間の目の明暗?色の認識 (2)

我々が何をみているかは網膜の中に存在する少なくとも3つの光受容性染

料あるいはフィルター色素がなければならないということを図(コーンの概略感度)と関連して指摘した。色の測定を行うのは、一般的に分光光度計を使用している。分光光度計は、ある一定間隔(たとえば10mμ間隔)の波長の光の反射率を測定する。ところが、分光光度計計の光受容素子と目の光受容素子と

では波長ごとの感度が異なるため、人間の目の感度に変換する必要がある。これらの三つの要素を、分光光度計の測定結果から人間の目で感じる値に変換するための係数が必要となる。そのため、分光光度計の測定結果にある関数を乗算する必要がある。これが重み関数である。

上図(は、輝度関数)は、標準観測者がどのように各スペクトル(波長)ごとに刺激を受けているかを示すスペクトルの三刺激値(重み関数

)を示している。標準観測者は、テディングトンのNational Physical Laboratoryの7人の観測者に、ロンドン大学の10人の観測者、Wright による35人の観測者による測定を加え、その信頼性を高めたものである。これらの観測者間にはバラツキがあり、色の知覚には個人差があることを認識しておくべきである。色は人間の5感の中で唯一数値化されているものであるけれど、その数値をあまり細かく議論しすぎるのには意味がないともいえる。

色彩概論―2.人間の目の明暗?色の認識(3)

色の認識をするにあ

たって、もう一つの重要な要素がある。物体が認識されるのは、その物体に光が照射され、反射した光が目に入り行われる。当然、照明される光源のスペクトルごとの放射量の違いによって、同じ物体であっても反射されるスペクトル強度に差が生じる。ある一定の波長のところで、放射エネルギーの大きな光と小さな光とでは、その反射される光の強度が大きくなったり、小さくなったりするわけである。従って、ものを見たり、色の測定を行う場合には、その光源がどのような分光感度を持っているかが重要な要素となる。図は、

標準光源A、B、Cのスペクトル放射を示している。標準光源A()は、色温度2,854°K

のタングステンランプ、標準光源B()は、昼光色、標準光源C()は、完全に一面雲に覆われたような平均昼光色を示している。

色彩概論―3.色の表現方法

木々の緑を見て、言葉によってその色を伝えようとしたとき、どのように表現したらよいだろうか。昔から、独特の色を表現する言葉があり、その表現方法は時代と共に変化している。たとえば、緑色を表現するには、緑色、暗緑色、オリーブグリーン、常磐色、マラカイトグリーン、若竹色、青竹色、薄緑、灰緑、深緑、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、緑青色、木賊色、クロムグリーン、ピーコックグリーンなどいろいろな表現があり、これらの呼び名を慣用色名と呼んでいる。

最近では、色名に青みの緑、黄みの緑、明るい青みの緑などの形容詞をつけて正確に表現する方法が使われている。

彩概論―4.色の三属性

1)色相

同じ緑色でもやや黄味のかかった緑、黄緑、やや青味がかった緑、青緑など色味の違いによって区別することができる。さらに緑がかった青、青、青紫、紫、赤紫、赤、橙などと色が変化していく。このように区別することの出来る色味のことを「色相」と呼んでいる。これらを並べて一つの輪が作られる。この輪を色(相)環という。

この色環の反対側の色(図の線で結んだ色)を補色と言い、色分解のフィルターと色版の関係を示している。

2)明度

同じ色味、すなわち同じ色相の色でも明るい色、暗い色と言い表す、「明るさの度合い」がある。木の葉の色も、若葉の萌

え出た頃と夏とでは、明らかに若葉の頃の緑の方が明るいと感

じると思う。それでは、若葉の緑と小豆の赤とではどちらが明

るく見えるだろうか。もちろん若葉の緑の方が明るく見えると

思う。このように色相に関係なく「明るさ」という尺度で表せられる性質を「明度」と呼んでいる。下図に示すように、図の色(相)環の中心を通る紙の上方から紙の下方に突き抜ける線が明度を示す線である。この線の上方に行くほど色の明るさが明るく、下方に行くほど明るさが暗くなっている。

3)彩度

同じインキの色で上質紙に緑を印刷したときとミラーコートのような用紙

に印刷したときとではどのように見えるだろうか。ミラーコートに印刷した緑は鮮やかな緑となり、上質紙に印刷した緑は沈んだ、鈍い緑に印刷される。これはおなじ緑でも「鮮やかさ」に大きな違いの出た印刷物になったことを示している。このように色には「色相」「明度」とは違った尺度である「鮮やかさ」という概念があることが判る。この「鮮やかさ」の度合いを示す尺度のことを「彩度」と呼んでいる。図に示したように色(相)環の中央に行くほど色味が鈍くなり、灰色に近づいていき、外側に行くほど鮮やかなきれいな色になる。

このような方法で色を説明すると、言葉で色を言い表せることが理解できると思う。これらの「色相」「明度」「彩度」の三つの要素のことを色の「三属性」と呼んでいる。縦軸に明度、外周に色相、中心から外周に向かう方向に彩度をとると一つの立体を作ることが出来ます。この立体を「色立体」と呼んでいる。彩度は、色相によって異なるので、色立体は複雑な形状となっている。

色彩概論-5.三原色

???????????という二人の英国人が、互いに独立した3つの光を適当に選択し、それらを適当な割合で加法混色することによって、あらゆる色を再現できると

いう三原色説を発表した。この3つの色の選び方は全く任意のものでよいが、加法混色の場合、混合の割合が負にならないように選択することが望ましいのは当然のことである。そこで、CIEのRGB表色系では、光の可視スペクトルの短波長よりの単色光、λ=435.8nm、長波長よりの単色光、λ=700nm、可視光のほぼ中央の単色光、λ=546.1nmを選択している。

ひらく言うと、この三原色理論は、目には赤色光により刺激を受ける視神経と、緑色光により刺激を受ける視神経、青紫光により刺激を受ける三つの視神経が存在し、この三つの色光によって、全ての色を識別していると説明されている。。光の混合は加色混合(加法混色)といい、赤(R)、緑(G)、青紫(Bv)、インキや絵の具の混合は減色混合(減法混色)といい、????(Y)、?????(M)、???(C)であるす。それらの色を混合すると図に示したようになる。

色彩概論-6.濃度計による測色方法

濃度での数値表現は、濃度計によるCMYの濃度差と人間の目で見た濃度差の感覚が色によって異なるため、CMYのバラツキ管理をするために、各色の許容誤差を一律に管理することができず、それぞれの色?濃度毎に対して決めなければならない。また、濃度表現では、ある特定の色に関しての明暗、すなわち濃度に関しては表示可能であるが、その色がどのような色なのかを特定することは不可能である。たとえば、インキの???間の色の違いがどの程度あり、どのような色の方向にどのくらいの違いが出ているかを表現することは出来ない。これは、印刷した結果の色の違いに関しても同じことがいえる。本来色差計で管理すべきであるが、しばらく前までは、色差計?分光光度計などの色測定装置の価格が高く、なかなか使い切れなかった。そのため、????の印刷技術の研究機関であるGATFが、濃度計を使った次のような色の測定法を提唱した。色相誤差(HUEERROR)((M-L)/(H-L))×100(%)濁り(GRAYNESS)(L/H)×100(%)効率(EFF

ICIENCY)(1-(L+M)/2H))×100(%)H:一番高い濃度M:中間の濃度L:一番低い濃度

右の図はGATFの???????と呼んでいる。図の描き方は、上記の式で計算した色相誤差を円周方向にとり、濁りを半径方向にとる。

このほか六角形の図形に描くGATFの????????三角形の中に描く????????などの書き方の????????がある。たとえば?????インキをRGBの????で測定して、色相誤差を描く場合、中間の濃度はBv????で測定した値となり、R????で測定した値が一番低い値になったときはY方向にずらして?????する。また、濁りは、円の中心にいくほど濁りが多く、円周方向に行くほど小さくなる。

色を測定する装置(分光光度計)が高価であった時代に、濃度計を使って、近似的な色測定をしようと試みた方式で、一時はかなり使われ、印刷関係の文献にも出ていたが、最近は、色測定装置が濃度計よりやや高い程度で購入できるようになり、あまり使われることが無くなってきている。

色彩概論-7.????表色系

????表色系は、色表を用いる顕色系(物体標準、たとえば色票の見え方に基づく表色系)の代表的なもので、米国の画家Munsellが1905年に考案し、その後1930年代末から米国光学会の測色委員会で、尺度を修正した表色系である。この修正したものを修正????表色系と呼んでいるが、現在????表色系と呼んでいるものは全てこの修正????表色系のことで、特に区別を必要とするとき以外は????表色系といっている。

????の色票は、下図の左側の図で示すような色相毎に縦軸に明度、横軸に彩度をとり、???????を貼り付けたのもとなっている。

色票は、円筒座標を用いて配列し、明度Vを縦軸に、色相Hを円周方向に、彩度Cを半径方向に配列している。中心軸は無彩色の黒が下で、上に行くに従って明るい????になり一番上に白が配列してある。彩度の尺度は、無彩色の彩度をC=0として、中心軸からのの距離を示しています。また、色相は環状に配列してあり、これを色相環と呼んでいます。このように、色票を空間的に配列し

たものを色立体と呼ぶ。

マンセル記号は、次のように表している。

色相(Hue)は、○●×/×のように最初の二桁で表し、ここで○は●の色相からの隔たり量として0~10、●は色相でY,YR,R,RP,P,B,BG,G,GYのように表す。同様に明度(Vlue)は××○/×の1

桁で表し、明るさの度合いを0~10で、0が黒で10が白を示している。彩

度(Chroma)は?????を入れた後の1桁で×××/○として表し、鮮やかさを示す度合いを0~14で、数字が大きくなるほど鮮やかな色を示している。

たとえば、女性の肌色は、H=1.6YR、V=6.3、C=3.9位の数値、すなわち

1.6YR6.3/3.9と書き1.6YRの6.3の3.9と読む。????表色系では、明度(V)は、10段階で、視覚的に等明度間隔となっている。また横軸は、彩度を示し、最も鮮やかな色を14として、明度差ΔV=1の知覚差が、彩度の差ΔC=2の視覚的に等彩度間隔となっている。図の左側の円周上に示される色相は、通常の観測条件下で同じ明るさになるように並べられており、色相差ΔH=3(C=5において)に対応すると言われている。従って????色表はほぼ知覚的に等しく配列しているといえる。一般にこの色表を見て、一番近似している色表とその隣にある色表の間のどのくらいに位置するかを推定し、????のいくつと表現してる。色票の間隔がかなりあるので、推定精度が低くなる欠点がある。

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