近世の文学
近世文学

近世文学(一)概观(1)基礎概念近世:徳川家康(とくがわいえやす)によって江戸に幕府が開かれてから、大政奉還(たいせいほうかん)までの約二百七十年間を近世という。
近世は日本の封建制度が完成を見た時代である。
特徴:①幕府は大名を全国各地に配置。
②士農工商(しのうこうしょう)という身分制度を敷く(しく)。
③忠孝ちょうこう・礼儀を説く儒学を官学とする文治政策。
(2)文学理念①さび:蕉風俳諧しょうふうかいの根本的理念。
自然と一体となったときにあらわれる閑寂(かんじゃく)・枯淡(こたん)の境地きょうちの美。
②しおり:蕉風俳諧の理念の一つ。
優しく細かくしなやかな感じ。
対象に対する愛憐あいれんの情が自然に外に現れるものを表す。
③細み:蕉風俳諧の理念の一つ。
繊細(せんさい)な感情によって対象をとらえたところに生ずるもので、内的な深みに食い入った状態。
④軽み:芭蕉晩年の理念。
表現の重さを脱し、平俗(へいぞく)な事をも詩的な美へと昇華(しょうか)させる境地。
⑤粋:浮世草子(うきよぞうし)や浄瑠璃(じょうるり)で見られる精神。
社交的に洗練(せんれん)された享楽(きょうらく)精神をもっていることを理想とする考え。
⑥通:遊里(ゆうり)の事情・趣味的生活など遊びの方面をよく知っていること。
粋(わく)が上方で、通が江戸でもてはやされた。
⑦勧善懲悪(かんぜんちょうあく):善を勧め、悪をこらしめようとする道徳的な考え。
儒教(じゅきょう)思想を背景に、人々の間に浸透していった。
(4)近世文学の主な内容について①俳諧の流行②国学の隆盛③小説の普遍④浄瑠璃と歌舞伎の発達俳諧の流行(1)俳諧の発展①貞門俳諧松永貞徳俳諧の決まりや用語を定め、卑俗(ひぞく)な俳諧を高めた先駆せんく俳風:保守的・古典的・生気に乏しい②談林俳諧西山宗因題材、用語、表現を自由大胆に唱えた俳風:奔放で、笑いを誘う③蕉風俳諧池西言水・上島鬼貫・山口素堂俳風:幽玄の美を求め、閑寂枯淡を重んじる蕉門俳諧松尾芭蕉:正保元年(1644)生まれ。
近世の文学

近世の文学
時代区分 背景
関が原の戦いに勝利した徳川家康が、慶長八
年(1603)江戸に幕府を開いてから、十五代 将軍慶喜が慶応三年(1867)に大政奉還する までの265年間が近世という時代である。
文学の大衆化
この時代に、幕府が儒教の朱子学を柱にした
文治政策を採ったこともあって、庶民の教育水 準は高まり、文化、芸術は徐々に独自な成熟を 示し、現在の日本人の生活様式や美意識の多 くの部分がこの時代に形づくられた。 この時代の文学の特徴は、町人文学あるいは 庶民文学という言葉で表現されることが多い。 それに、印刷術の進歩、発展の意義も大きい。
பைடு நூலகம்
時期区分
上方文学期(元禄文学):浮世草子、浄瑠璃、
俳諧 江戸文学期:草双紙、読本、洒落本、滑稽本、 人情本、狂歌川柳、儒学、国学
日本近世文学特征

日本近世文学特征从庆长八年江户幕府开设,到庆应三年第十五代将军庆喜大政奉还为止,大约二百七十年间,把这一时期称为近世。
近世文学可以说是属于庶民文学,在此时代,德川幕府采取在全国各地设置大名,治理各自的领域的幕藩体制。
同时确立了士、农、工、商的严格的身份等级制度。
采用了不使用武力根据儒教实行文治政治,这样没有出现大的战乱,并且使太平的年代持续很长时间。
由丰臣秀吉开设的大坂作为商人的城镇而发达,被称为天下的台所。
因活跃的生意而使人们具有经济能力,并因此产生独自的文化。
特别是在文学大众化的背景下,由于木版印刷的发达和在寺子屋的教育的普及,使得读者层扩大。
俳句、浮世草子、净琉璃、歌舞伎等,拥有较强的庶民文学的性格。
文学作品的作者不仅有商人、同时还有武士、神官、僧侣、医生等遍布各种各样的阶层。
按时间顺序近世文学可分为元禄文学,天明文学,文化、文政文学。
一、元禄文学17世纪后半左右,特别是元禄时代庶民文学开花。
因为以上方为中心,所以既可以称为元禄文学,又可以称为上方文化。
从室町时代的[俳句的连歌]的发句独立化,变成单独的[俳句]为止,经历了许多尝试。
宽永时期,以京都的松永贞德为中心的贞门俳句,使用在和歌、连歌中用的俗语[俳言]尝试进行俳句的独立化,总结了【御伞】的作法书,松永贞德致力于容易理解的俳句的普及,以大坂的西山宗因为指导者的谈林俳句摆脱了和歌和连歌的束缚,向自由化发展,试着作出咏诵町人风俗、奔放作风的俳句,宗因门下的井原西鹤擅长在限定的时间内,咏唱多个句子的矢数俳句。
但是俳句真正的独立是从松尾芭蕉开始。
伊祝上野的下级武士松尾芭蕉致力于俳句之道,最初是谈林派的,逐渐生出独自的、且及具有丰富的艺术性的俳风,他致力于把西行、宗祇的文学精神用于庶民艺术的俳句。
逐渐奠定了娴静高雅的俳句世界。
【芭蕉七部集】是显示芭蕉俳风形成过程的作品集。
他的名作有俳句集【猿蓑】、纪行文【深处的细道】,芭蕉的是句子以娴静、高雅而著称。
日本文学史_上代

ぶ。
『天を詠む』
天を海に
柿本人麻呂 万葉集巻第七
雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ 現代語訳: 天の海に 雲の波が立ち 月の舟は 星の林に 漕ぎ入り隠れようとしている
天の海に
月の舟浮け 桂梶 掛けて漕ぐ 見ゆ 月人をとこ 現代語訳:天の海に 月の舟を浮べ 桂の梶 を 取り付けて漕いでいるよ 月の若者が
中西進
上昇型、下降型と分けると下降型である。 女性的。 非論理的、合理性がない。 感性的
時代区分
文学の誕生から、平安遷都(延暦十三年 七九四)(なく よ うぐいす)のころまでを上代とする。 大和地方(飛鳥・藤原京・平城京)を中心とする。
文学の誕生
先土器時代(旧石器時代)→縄文時代(土器、採集生活) →弥生時代(水稲耕作)→共同体的社会 祭りの場で語られる神聖な詞章(呪言・呪詞)が文学の原 型である。
古代歌謡 古代の人々の信仰と生産の生活に根ざした表現 歌垣・宮廷歌謡 祭りの場で人々は、神への祈りや感謝を歌に込めた。時に 簡素な楽器や舞踏を伴ってくり返しうたわれるうちに、集 団の労働や歌垣などの場でも民謡としてうたわれるように なり、統一国家形成の過程では、宮廷の儀礼に取り込まれ て宮廷歌謡としても伝承だれた。 このようにして定着した歌を総称して、古代歌謡と呼ぶ。 記紀歌謡 『古事記』『日本書紀』に収められている約百九十首の歌 謡である。 <内容>多方面にわたる生活感情がさまざまの歌体で豊か にうたわれている。
月舟移霧渚、楓檝泛霞浜。 台上澄流輝、酒中沈去輪。 水下斜陰砕、樹除秋光新。 独以星間鏡、還浮雲漢津。
読み下し文 『月を詠む』
月舟は霧の渚に移り、楓檝は霞の浜に泛かぶ。 台上は流耀澄み、酒中去輪に沈む。 水下りて斜陰砕け、樹除りて秋光新し。 独り星間の鏡を持ちて、還に雲漢の津に浮か
《世界文学发展史》日本文学之七:近世文学1

《世界文学发展史》日本文学之七:近世文学1日本文学之七:近世文学1日本文学,这时被称为近世文学,也称江户文学时期。
中世前期社会动荡,到了这一时期由于德川幕府的建立,中央集权统治再一次成为政治统治形式。
武士成为统治者,建立一套更为完备的统治形式:首先是建立森严的等级制度,把人分为四等,士、农、工、商。
在等级结构中,将军是金字塔的顶点。
虽然武士成为统治者,但由于他们从各自的领地集中到城市,因此经济上不断被削弱。
在经济上异军突起的是町人阶级。
社会稳定,城市商业经济繁荣发达,使町人阶级在物质上较为丰富。
可是他们处于社会的最底层,政治上不可能有所作为,于是他们的人生哲学就是尽情享乐,因为这样可以弥补社会地位低下造成的心理自卑和不满。
他们的人生哲学直接影响到当时的町人文化。
这一时期与文学发展密切相关的是印刷术的飞速发展,这使文学作品大量出版发行,使文学有可能不再是上层少数贵族僧侣的专有领域,成为社会各种阶层的共同精神世界。
诗歌方面,这一时期主要是俳谐的发展阶段。
谈林派是俳谐的主要流派,谈林派得名于俳谐集《谈林十百韵》。
谈林派风格清新泼辣,滑稽诙谐,自由奔放,摒弃贞门俳谐的种种教条,但后期因流于卑俗,渐次冷落。
主要代表作家有西山宗因、田代松意、井原西鹤等。
西山宗因(1605~1682年)著有《西翁十百韵》(1673年)。
以后又和田代松意等人共同创作《谈林十百韵》,成为谈林派最重要的作品。
西山俳句注重艺术内容,如:" 疑是荷兰字,侯雁书长空。
" 谈林派衰落以后,迎来了俳句的黄金时代,这一时期被称为元禄文学,是江户町人文学的鼎盛时期,时间上大致是17世纪80年代到18世纪的最初10年。
这一时期,诗、小说、戏剧都取得了辉煌的成就,从各个角度反映了町人阶级的生活,传达了他们对生活的要求,再现了町人阶级遭受的封建压迫。
元禄文学主要在日本的大城市,如京都、大阪、江户,以反映城市生活为主。
" 俳圣" 松尾芭蕉就是元禄文学诗歌创作的代表性作家,他把市民阶级带有游戏性的俳谐,提高到真正艺术性的创作层次,他为俳句做出了空前绝后的贡献。
日本文学史近世1

大政奉還
• 慶応2年(1866)、徳川第15代将軍慶喜が幕 府の内憂外患に直面して、翌年(1867)遂に 征夷大将軍の職を辞し、政権を朝廷に奉還し た。これにより、江戸幕府としては265年、鎌 倉幕府から数えて682年をもって武家政治は 終末を告げ、所謂王政復古となった。
文運東漸
• 近世の文学は一般的に前期と後期に分けら れる。前期においては、文化や文学の中心 は京阪を中心とした上方にあったが、宝暦 (1751-1763)・明和(1763-1771)あたりを境として、 文化の中心が江戸に移っていく。この現象を 文運東漸と呼ぶ。
参勤交代
• 江戸幕府の大名統制策の一つであり、原則 として、一年交代で諸大名を江戸と領地と住 居させた制度である。1635年の武家諸法度 改定により制度化された。往復や江戸屋敷の 経費は大名財政を圧迫したが、交通の発達 や文化の全国的交流を促すなど各方面に影 響を与えた。
近世の身分制度
• 近世は宗教が支配した中世社会と違って、儒 教の道徳が支配した社会である。長い戦乱 後に社会を安定にするため、幕府は儒教を 政治の指導原理として選択し、士・農・工・商・ 穢多・非人という厳しい身分制度で人々を縛 り、それに世襲制によって固定化した。
浮世草子と好色
• 浮世:仏教的な生活感情から出た「憂き世」と漢語 「浮世(ふせい)」との混交した語。「無情の世」「この 世の中」「享楽の世界」などの意。 • 浮世草子とは、元禄時代(1688-1704)を出発点とし て、明和(1764-1772)のころまで約百年間、上方を 中心として当代の享楽生活や好色風俗などを積極 的に取り上げる写実的な風俗小説である。 • 好色:平安時代に定着した文学理念、特に『源氏物 語』が爛熟に達せられたが、中世になると、儒学的 な武士道精神と対立する間に、さらに発展された。 時代や道徳などを超越し、純粋な精神を主とした人 文精神となり、即ち、「粋」と「通」によって表現された 哀れや風雅で、人間の愛や自由への追求を表す。
日本文学(上代 中古 中世 近世 近代 战后)

阿日本文学史:上代の文学(794年まで)中古の文学(1192年まで)中世の文学(1603年まで)近世の文学(1867年まで)近代の文学(1926年まで)(明治と大正)現代の文学(1927~現在)上代の文学一上代の文学概観:集団·口承の文学個人·記載の文学二神話·伝説·説話:古事記(歴史書)日本書紀(歴史書)風土記(地誌)三詩歌:万葉集漢詩文四祭祀の文学:古事記:編者選録·太安万侶誦習·稗田阿礼成立和銅五年(712)目的国内的に思想の統一を図る内容三巻からなり、上巻は神代中·下巻は人の代文体漢字の音調を使う特色史書、文学的、意義現存する日本最古の作品日本書紀:編者舎人親王成立養老四年(720)目的対外的に、先進国中国に対して、日本の優勢を示す内容30巻、巻一、二が神代文体純粋な漢文体特色編年体、歴史的意義六国史の最初風土記:諸国の地誌であり、完本は『出雲風土記』文章漢文体私的な伝承筆録:奈良末期の『高橋氏文』(たかはしうじぶみ)と平安初期の『古語拾遺』(こごしゅうい)仏教説話集『日本霊異記』(にほんりょういき)万葉集編者未詳大伴家持(おおとものやかもち)が関係奈良時代後期に成立内容20巻にわたり、約4500首の和歌が収められる。
基本的には、雑歌、相聞、挽歌の三分類が認められる。
天皇や皇族から一般庶民に至るまで、幅広い層の和歌を収録している点が最大の特徴表記万葉仮名史的評価現存する最古の歌集、和歌という文学形態を完成させた。
東歌(あずまうた)と防人歌(さきもりうた)歌風の変遷第一期(壬申の乱672年まで)明るく素朴な歌風額田王(ぬかたのおおきみ)(女流歌人)第二期(平城京遷都710年まで)長歌、短歌の形式確立。
枕詞、序詞、対句が発達。
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)長歌の様式を完成させた歌人。
第三期(天平五年733まで)個性的な歌人が独自の歌境を開く。
日本文学总结

第一章古代前期(391-794)文学(奈良時代)口承文学の時代から記載文学の時代へ1、最古の書籍:「古事記」712年太安万侶(おおのやすまろ)2、最初の地志(ちし):「風土記」713年3、最初正歴史書:「日本書記」720年舎人親王(とねりしんのう)4、最古の汉诗集(かんししゅう):「懐風藻」751年淡海三船(おうみのみふね)???5、最古の歌集:「万葉集」340年から759年まで大伴家持(おおとものやかもち)内容:雑歌(ぞうか)、相聞歌(そうもんか)、挽歌(ばんか)、比喩歌(ひゆか)、東歌(あづまうた)、防人歌(さきもりうた)などがある。
万葉一期(発生期)舒明天皇629年の時代から672年前後まで額田王(ぬたかのおおきみ)がその中の代表的な女流歌人万葉二期(発展期)専門歌人が多く誕生した。
特に、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)は万葉中最高の歌人だ。
彼は典型的な宮廷詩人で、山部赤人(やまべのあかひと)とともに后世(こうせい)に「歌圣かせい」と称されている。
万葉三期(最盛期)710年から733年まで代表的な歌人:山上憶良(やまのうえのおくら)、大伴旅人(おおとものたびと)、山部赤人(やまべのあかひと)「思想歌人」万葉四期(衰退期)(天平6年)734年から年759まで代表的な歌人:大伴家持(おおとものやかもち)6、最初の歌学書:「歌経標式」(かきょうひょうしき)772年藤原浜成(ふじわらのはまなり)第二章古代後期の文学(平安時代794-1192)唐風文化から国風文化へ7、最古の物語(物語の祖)「竹取物語」(たけとりものがたり)9世紀末ー10世紀初空想的、ロマン的な作り物語の最初で。
8、最初の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう):「古今和歌集」905年、醍醐天皇(だいごてんのう)の勅命によって、紀友則(きのとものり)、紀貫之(きのつらゆき)、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、壬生忠岑(みふのただみね)。
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9/28/2014
文体:和漢混交、雅俗折衷の文体で書かれ、長編読本の 最高水準を示している。
内容:「水滸伝」からヒントを得て、南総の里見家の後興を目指す家 臣の八勇士の武勇伝である。
八犬士:《南总里见八犬传》的主角是八个由念珠转生的武士, 他们在出生时随身就携带着里面会浮现文字的念珠,分别代表仁、 义、礼、智、忠、信、孝、悌八种美德,并且在身上的某部位会 存在一牡丹形状的痣。八犬士的出身地各有不同也互不相识,但 姓氏都是以“犬”字起头,且同样都会背负一种与本身所持美德 相违背的悲剧背景,而被迫离开原本的生活步上流浪之途,并且 逐一相遇结识并且同行。八犬传的作者曲亭马琴在这些人物的个 性与遭遇中埋入许多与儒家或佛家意念相关的伏笔或隐喻,因此 这些错综复杂的人际关系也成为日后一些文学分析者津津乐9/28/2014 道的 话题。
一.時代の背景朱子学) 鎖国政策(さこく)
木版印刷(もくばん)
平和の到来
文化・経済の 発展
文学の 繁栄
木版印刷や寺 子屋(てらこや )の普及 文学の読者層 の広がり
江戸時代の寺子屋
作者(武士→町人)
作品(手書き→印刷)
町人 文学 の繁 栄
読者(教育の広がりと 共に)
山形領内に、立石寺という山寺がある。慈覚大師が開いたお 寺で、まことに清らかで静かな土地である。「一度は見てみた ほうが良い」と人々にすすめられたので、尾花沢から引き返し てきたのであるが、その距離は七里ほどである。
日はまだ暮れていない。山のふもとの宿坊に宿を借りて、山上 にあるお堂に登っていく。岩に巌が重なって山となり、松や柏 の木は年齢を重ね、土や石も年が経って苔がなめらかに覆っ ており、岩の上に建てられたお堂の扉は閉じられていて、物の 音が聞こえない。崖のふちをまわって、岩をはうようにして登り、 仏閣を拝んだのだが、すばらしい景色は静寂につつまれ、自 分の心が澄んでいったことだけが感じられる。
奥の細道 立石寺
山形領に立石寺といふ山寺あり。慈覚大師の開基にして、こと に清閑の地なり。一見すべきよし、人々の勧むるによつて、尾 花沢よりとつて返し、その間七里ばかりなり。 日いまだ暮れず。ふもとの坊に宿借りおきて、山上の堂に登る。 岩に巌を重ねて山とし、松柏年ふり、土石老いて苔なめらかに、 岩上の院々扉を閉ぢて、物の音聞こえず。岸を巡り岩をはひ て、仏閣を拝し、佳景寂寞として心澄みゆくのみおぼゆ。 閑かさや岩にしみ入る蝉の声
9/28/2014
9/28/2014
洒落本(しゃれぼん)
主として遊里を舞台にし、遊女と客の会話 を中心にその姿を写実的に描いた小説。
山東京伝(さんとう きょうでん)
『通言総籬』(つうげんそう まがき)
『傾城買四十八手』(け いせいがいしじゅうはって)
人情本
一般庶民の男女の恋の縺れを 描いた恋愛小説で、泣本とも 呼ばれた。女性の読者を対象 とした写実的風俗小説と言え る。
為永春水(ためながしゅんすい )春色梅児誉美(しゅんしょくう めごよみ)
滑稽本(笑い+風刺)
十返舎一九(じっぺんしゃいっく) : 東海道中膝栗毛(とうかいどうち ゅうひざくりげ)
式亭三馬(しきていさんば)
浮世風呂(うきよぶろ)
浮世床(うきよどこ)
2.4 草双紙(くさぞうし)
17世紀後半から明治初期にかけて、 出版された絵本は草双紙(くさぞう し)と呼ばれていた。その内容は「桃 太郎」のような民話を主とした幼児 向けのものである。
(二)和歌の発展 1 俳諧(はいかい) 貞門(ていもん)(松永貞徳)(まつながていとく)
滑稽 言語遊戯・形式的 保守的
談林(だんりん)(西山宗因)(にしやまそういん)
新奇 享楽的 自由・奔放
ゆうげんかんじゃく
蕉風(しょうふう)
芸術的・雅俗折衷 重厚・平淡
幽玄・閑寂
「俳諧」の元の意味は「滑稽」「戯れ」といった意味があ る。『古今和歌集』に集められた滑稽な和歌は「誹諧 歌」と呼ばれていた。 室町時代に、和歌の連歌の表現を滑稽・洒脱にして、 より気軽に楽しめるようにした文芸が、「俳諧連歌」、も しくは「俳諧の連歌」と呼ばれ、栄えた。
松尾芭蕉(まつおばしょう)
ー『奥の細道』(おくのほそみち)
松尾芭蕉(まつおばしょう):後世に俳聖(はいせい)と 呼ばれ、日本だけでなく、世界の詩人としても、その作 品が愛唱されている。 与謝蕪村(よさぶそん):「芭蕉に帰れ」をスローガンと した俳諧(はいかい)復興運動(ふっこう)の代表的俳 人。感性的浪漫的俳風を生み出し、芭蕉と並称される。 小林一茶(こばやしいっさ):不幸な境遇(きょうぐう)を 反映して屈折(くっせつ)のある異色(いしょく)な作風を 示した。
近世の文学
近世という時代区分
江戸幕府開設(徳川家康)から(1603年) ~ 江戸幕府崩壊(大政奉還)まで(1867年) 約260年間の歴史
近世(きんせい)の文学 (江戸時代)
17世紀の初期、徳川家康(とくがわいえやす)は天下 を統一(とういつ)し、世は江戸時代に入った。これは 日本封建(ほうけん)社会の最後の段階でもあり、封 建社会の完成期でもある。士農工商(しのうこうしょう) との身分制度によって、人々を厳しく支配した。 300年に及ぶ鎖国(さこく)
山形領/に(格助詞)/立石寺/と(格助詞)/いふ(ハ行四段活用・ 連体形)/山寺/あり(ラ行変格活用・終止形)。 慈覚大師/の(格助詞)/開基/に(断定の助動詞・連用形)/して (接続助詞)/、ことに(副詞)/清閑/の(格助詞)/地/なり(断定の 助動詞・終止形)。 一見す(サ行変格活用・終止形)/べき(適当の助動詞・連体形)/ よし/、人々/の(格助詞)/勧むる(マ行下二段活用・連体形)/に (格助詞)/より(ラ行四段活用・連用形)/て(接続助詞)/、尾花沢 /より(格助詞)/とつ(ラ行四段活用・連用形の音便)/て(接続助 詞)/返し(サ行四段活用・連用形)/、そ(代名詞)/の(格助詞)/ 間/七里/ばかり(副助詞)/なり(断定の助動詞・終止形)。 日/いまだ(副詞)/暮れ(ラ行下二段活用・未然形)/ず(打消の助
月日は永遠に終わることのない旅人のようなものであって、来 ては去り、去っては新しくやってくる年もまた旅人である。船頭と して船の上で生涯を過ごす人や、馬引として年をとっていく人に とっては毎日が旅であって旅を住処としているのだ。昔の人も、 多くの人が旅をしながら亡くなっている。 私もいつの頃からか、ちぎれ雲が風に誘われて行くように流浪 の旅をしたいという気持ちがおさまらずに、最近は海辺をさす らってはいた。去年の秋に川のほとりの古びた家に戻って、(留 守にしておいた間にできていた)蜘蛛の巣をはらい腰を落ち着 けた。年もだんだんとくれてきて春になったが、霞だちたる空を 見ると、「今度は白河の関を超えたい」と、そぞろの神が私の心 に取り憑いてそわそわさせ、しかも道祖神が私を招いているよ うな気がした。股引(ももひき)の破れているのを繕って、笠の緒
9/28/2014
西鶴の『好色一代男』
9/28/2014
好色五人女(こ うしょくごにんお んな)ー自由恋 愛を罪と考えら れる封建道徳 に対する批判
読本(よみほん)
読本:文章を中心として、挿絵を付けた読み物 上方(じょうほう)(京都.大阪)を中心としたものを前期 読本、江戸を中心としたものを後期読本。 読本の始祖(しそ):「英草紙」(はなぶさそうし)、その 続編(ぞくへん)「繁野話(しげしげやわ)」「著者(ちょ しゃ):都賀庭鍾(つがていしょう)」
9/28/2014
近世(きんせい)の文学 (江戸時代) 江戸時代、町人(ちょうにん)の経済 力が増大して、寺子屋(てらこや)を始 める教育が普及されるにつれて、生 活に密接した読み物を求める庶民の 動きに応じて、浮世草子(うきよぞう し)を初めとする江戸時代特有の小説 形態が誕生した。
9/28/2014
仮名草子
江戸中心
(草双紙)黄表紙・洒 落本
合巻・ 滑稽本・人情本
浮世草子
前期読本
井原西鶴(いはらさいかく)と 浮世草子(うきよぞうし)
浮世草子(うきよぞうし):(もとの意味は「好色本」(こ うしょくぼん)現在的小説、即ち町人(ちょうにん)を対 象とした通俗的(つうぞく)な小説を指す。 井原西鶴(いはらさいかく)の代表作:「好色一代男」 (こうしょくいちだいおとこ)、「好色二代男」(こうしょく にだいおとこ)「好色五人女」(こうしょくごにんおんな)
文学中心の移動
•京都 •大阪
東日本
•江戸 •(東京)
西日本
9/28/2014
二.主なジャンル
近世文学
国学(賀 小説(草 俳諧・ 芸能(浄 漢学(朱 茂真淵・ 子・井原 川柳(芭 瑠璃・歌 子学・林 本居宣 西鶴) 羅山) 舞伎) 蕉) 長)
9/28/2014
芭蕉 西鶴 近松
近世 文学
上方中心
9/28/2014
奥の細道 旅立ち(冒頭)
月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯 をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を 栖とす。古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片 雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず、海浜にさすらへ、去年 の秋江上の破屋に蜘の古巣をはらひて、やゝ年も暮、春立る霞 の空に白川の関こえんと、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、 道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。もゝ引の破をつゞ り、笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先心にかゝ りて、住る方は人に譲り、杉風が別墅に移るに、 草の戸も住替る代ぞひなの家
近世文学
武士階級の伝統的・ 古典的な文学(和歌・ 漢詩文)
町人たちの新興文学 (草子(そうし)・俳諧( はいかい)・歌舞伎)